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大阪地方裁判所 昭和42年(わ)680号 判決

本籍

大阪市南区東清水町四二番地

住居

西宮市深谷町二番地

会社役員

三好誠治

明治三四年二月二八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官丸尾芳郎出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月及び罰金二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市南区東清水町四二番地において、貴金属卸売業を営んでいた者であるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和三八年分の所得金額が二、八六八万二、八三四円、これに対する所得税額が一、四七四万八、五二〇円であるのにかかわらず、貴金属売却による収入の一部を除外する等の不正手段により、右所得金額中一、九七三万九、〇八五円を秘匿したうえ、同三九年三月一六日大阪市南区南税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が八九四万三、七四九円、これに対する所得税額が三五一万七、六四〇円である旨の過少に虚偽記載した所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税一、一二三万八八〇円を免れ、

第二、同三九年分の所得金額が一、七四六万一、六九六円、これに対する所得税額が八一四万三、七二〇円であるのにかかわらず、前記第一と同様の不正手段により、右所得金額中一、〇四五万八六〇円を秘匿したうえ、同四〇年三月一五日前記税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が七〇一万八三六円、これに対する所得税額が二五四万四、五六〇円である旨の過少に虚偽記載した所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税五五九万九、一六〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書三通

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人作成の昭和四一年六月二八日付「確認書」と題する書面

一、大蔵事務官の三好つるに対する質問てん末書六通

一、三好つる作成の同年同月一五日付「確認書」と題する書面

一、黒沢義治、福山寛各作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書各一通

一、大蔵事務官の岡田健一に対する質問てん末書

一、谷村博司の大蔵事務官に対する供述書

一、大蔵事務官小山和男作成の同年七月一日付調査書

一、大蔵事務官小山和男、宮崎勉三作成の同日付調査書

一、大蔵事務官小山和男の検察官に対する同四二年三月二七日付調査報告書

一、大蔵事務官溝畑由造作成の所得税申告書写証明書二通

一、大蔵事務官小山和男作成の脱税額計算書二通

一、押収の金銭出納帳一冊、総勘定元帳一冊、極度外取引認可申請書綴一綴、借用証一通、借用金証一通(昭和四二年押第二九九号の1ないし5)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも昭和四〇年法律第三三号所得税法附則第三五条により改正前の所得税法第六九条第一項に該当するところ、所定懲役刑と罰金刑を併科することとし、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから懲役刑につき同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をなし、罰金刑につき同法第四八条第二項により罰金額を合算し、その刑期および金額の範囲内において被告人を懲役六月および罰金二〇〇万円に処し、同法第一八条により右罰金を完納することができないときは、一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法第二五条第一項に則り本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 井上清)

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